JRの運賃を計算してみよう |
関東地方にお住まいの皆さんは、最低1回はJRは利用したことがあると思います。普段は切符を購入するとき駅にある運賃表を見て目的地までの運賃を知ることができますし、インターネットで運賃を調べることもできますが、みなさんは運賃の計算方法をご存知ですか?実は知らない人が多いと思います。実はJRの運賃の計算方法はかなり複雑らしいです(私もよくは知りません)。ここでは話を簡単にするためにJR東日本・JR西日本・JR東海の3社内の移動の大人片道運賃(普通乗車券)の計算方法を解説したいと思います(ちなみに子供は半額です)。なお運賃計算の着眼点は次の通りです。
※ここで述べている運賃計算はおおざっぱなものです。特例などにより必ずしも実際の運賃と合うとは限りません。また東京近郊を対象として解説しています。
なおここに書いてある内容は必ずしも正確とは限りませんので「こんなものか」という感じで読んでください。
正確な運賃はネットで簡単に調べられますので・・・
JRの各路線は幹線と地方交通線の2つに分けられています。運賃は幹線のほうが地方交通線より安く設定されています。幹線の定義はありますが関東地方の路線はほとんどが幹線なのでここでは触れず、関東地方の地方交通線はこちらを参照。以下では幹線のみの利用に限って話をします(幹線と地方交通線をまたぐ場合は後で説明します)。東京附近や大阪附近の幹線区間の利用者の多い区間については、この区間内を相互発着する(=出発駅と到着駅が幹線区間の利用者の多い区間に含まれている)場合は、幹線よりもより割安な運賃が設定されている。この区間を電車特定区間という(適用範囲はこちら)。さらにこの区間でも利用者が多い山手線区間内を相互発着する場合は、さらに安い運賃が設定されている。これを東京山手線内という(適用範囲は山手線と山手線内部を通っている中央線)。
運賃は当たり前ですが出発の駅から到着駅までの営業キロ(以下営業キロのことを距離という場合がある)で決められます。また複数経路がある場合は通常は最短距離を運賃の計算に用います(ただし例外もありこちらを参照)。距離のキロメートル以下は切り上げます。
まずは出発の駅から目的駅までの営業キロ数を調べる必要があります。これは時刻表で調べることができます(または総武本線、京葉線、武蔵野線は当ホームページでも調べることができます。乗換えがあるときや複数経路があるときは計算が面倒くさいですが)。次に実際に運賃の計算をします。以下の距離と運賃の換算表を用います。
幹線の運賃が適用されます。また電車特定区間⇔幹線⇔電車特定区間となる場合も幹線の運賃が適用されます。
営業キロ | 電車特定区間片道運賃 | 幹線の 片道運賃 | 営業キロ | 幹線の 片道運賃 | 営業キロ | 地方交通線の片道運賃 |
---|---|---|---|---|---|---|
〜3 | 130/120 | 140 | 301〜320 | 5250 | 〜3 | 140 |
4〜6 | 150/160 | 180 | 321〜340 | 5460 | 4〜6 | 180 |
7〜10 | 160/170 | 190 | 341〜360 | 5780 | 7〜10 | 200 |
11〜15 | 210(190) | 230 | 361〜380 | 6090 | 11〜15 | 230 |
16〜20 | 290(250) | 320 | 381〜400 | 6300 | 16〜20 | 320 |
21〜25 | 380 | 400 | 401〜420 | 6620 | 21〜23 | 400 |
26〜30 | 450 | 480 | 421〜440 | 6830 | 24〜28 | 480 |
31〜35 | 540 | 570 | 441〜460 | 7140 | 29〜32 | 570 |
36〜40 | 620 | 650 | 461〜480 | 7350 | 33〜37 | 650 |
41〜45 | 690 | 740 | 481〜500 | 7670 | 38〜41 | 740 |
46〜50 | 780 | 820 | 501〜520 | 7980 | 42〜46 | 820 |
51〜60 | 890 | 950 | 521〜540 | 8190 | 47〜55 | 950 |
61〜70 | 1050 | 1110 | 541〜560 | 8510 | ||
71〜80 | 1210 | 1280 | 561〜580 | 8720 | ||
81〜90 | 1380 | 1450 | 581〜600 | 9030 | ||
91〜100 | 1530 | 1620 | 601〜640 | 9350 | ||
101〜120 | 1790 | 1890 | 641〜680 | 9560 | ||
121〜140 | 2100 | 2210 | 681〜720 | 9870 | ||
141〜160 | 2520 | 721〜760 | 10190 | |||
161〜180 | 2940 | 761〜800 | 10500 | |||
181〜200 | 3260 | 801〜840 | 10820 | |||
201〜220 | 3570 | 841〜880 | 11030 | |||
221〜240 | 3890 | 881〜920 | 11340 | |||
241〜260 | 4310 | 921〜960 | 11660 | |||
261〜280 | 4620 | 961〜1000 | 11970 | |||
281〜300 | 4940 | 1001〜1040 | 12290 |
注意点
・この換算表は本州3社(JR東日本・JR西日本・JR東海)内の移動のみに適用可。
・/は左が東京附近、右が大阪附近の運賃である。11Km以上は東京附近、大阪附近のどちらも同じ運賃である。
・()は東京山手線区間内の運賃である。10Km以下は電車特定区間内と同様の運賃である。
上の換算表は実際に算出することが可能です。幹線、電車特定区間内相互発着、東京山手線区間内相互発着のとき10Km以下は換算表どおりになります(固定)。11Km以上は次のように計算します。
幹線 | 電車特定区間 | 東京山手線内 | |||
---|---|---|---|---|---|
営業キロ | 賃率(/Km) | 営業キロ | 賃率(/Km) | 営業キロ | 賃率(/Km) |
300Km以下のとき | 16円20銭 | 300Km以下のとき | 15円30銭 | 300Km以下のとき | 13円25銭 |
300Km以上600以下のとき | 12円50銭 | 300以上のとき | 12円15銭 | ||
600以上のとき | 7円50銭 |
区分は
11Km以上のときは(営業キロ)×(賃率)を計算します(この制度を対キロ制という詳しくはこちら)。100Km以下のときは10円未満を切り上げる。100Km以上のときは十円の位を四捨五入してする。最後に消費税5%を加えて、1円の位を四捨五入する。例えば、電車特定区間の営業キロ21〜25Km区分のとき、営業キロ23キロとして計算する。
(23Km)×(15円30銭)=351円50銭
10円未満を切り上げて360円。税込み378円となり四捨五入して380円となる。
このように計算して作ったのが上の換算表です
計算例
電車特定区間相互発着の場合1
稲毛駅から船橋駅の距離は12.7Kmなので、11〜15Kmの区分を見ればよい。よって運賃は210円
電車特定区間相互発着の場合2
千葉駅から新松戸駅までの距離は総武線(千葉駅〜西船橋駅)18.6Km 武蔵野線(西船橋駅〜新松戸駅)14.3Km合計32.9Kmなので、運賃は540円
東京山手線内の相互発着の場合
東京駅から高田馬場駅の距離は14.4Kmなので、11〜15Kmの区分を見ればよい。運賃は190円(上記表のカッコ内の運賃を見る)である。
幹線内の相互発着の場合
木更津駅から蘇我駅の距離は31.3なので、幹線の31〜35Kmの区分を見ればよい。運賃は570円である。
電車特定区間⇔幹線の場合
海浜幕張駅(電車特定区間)から木更津駅(幹線)までの距離は42.6Kmなので、換算表の幹線の41〜45Kmの区分を見ればよい。よって運賃は740円である。
東京山手線内⇔電車特定区間の場合
飯田橋駅(東京山手線内)から千葉駅(電車特定区間)までの距離は40.4Kmなので、切り上げて41.0Kmとなる。よって換算表の特定電車区間の41〜45Kmを見ればよい。よって運賃は690円
電車特定区間⇔幹線⇔電車特定区間の場合
千葉みなと駅(電車特定区間)から千葉駅(電車特定区間)にいく場合、蘇我駅経由が最短距離(7.8Km)となるが蘇我駅は電車特定区間外なので、幹線の運賃が適用される。よって運賃は幹線の7〜10Kmのところを見ればよいので、190円である。
前者の南船橋駅と千葉駅間の最短距離は蘇我駅経由20.8kmであり電車特定区間外を一度経由するため、幹線の運賃が適用され400円である。
一方後者は電車特定区間内のみの移動となる。西船橋経由では距離は24Kmであり蘇我駅経由より営業キロは多くなるが、運賃は電車特定区間の運賃380円であり蘇我駅経由より安くなる。よって南船橋駅と千葉駅間の運賃は380円となる。このように運賃が必ずしも最短距離とは限らない。むしろ考え方としては複数経路のうちそれぞれの場合の運賃を計算したうち、一番安い運賃を請求するといったほうが分かりやすい。それが通常は最短距離となるわけであるが、このように電車特定区間の関係上、最短距離=最安運賃とはならない。
ちなみに380円の運賃しか払わないからといって、蘇我経由で乗車するのは駄目かというと、別に乗車しても構わない。そこには大都市近郊区間という制度があるためである。そもそも運賃は乗車した距離だけ払うのだが、首都圏のように複数路線が入り組んでいる場合、降車駅までに複数経路があることが多々あり、乗客一人ずつの乗車経路を把握し、運賃を請求するのは、乗客が多い都市部では事実上困難である。そこでこの制度は分かりやすくいえば、「実際にご乗車になる経路にかかわらず、最も安くなる経路で計算した運賃で乗車することができる」という感じである。
ただしこの説明は厳密には間違っている。大都市近郊区間の適用区間や詳しい説明については、wikipediaを参照
JR東日本
JR東海
様々な特例があるそうですがここでは一部を紹介します。
上の計算だけでは実際の運賃より高くなる場合がある。これは特定区間運賃のためである。通常の営業キロ数で出される運賃よりも安く設定された区間がある。これを特定区間運賃という。この区間は鉄道事業者が特別に定めている。この区間が設定される理由は並行する他路線との競走上、通常のキロ数による運賃では高すぎて不利になるため、設定されている。特定区間運賃は「A駅〜B駅間はC円」と言うように設定されている。なおこの区間から一駅でも外れる通常の運賃にをとられるため、特定運賃区間の運賃が正規の運賃より割引率が高いと1駅でも外れた場合、正規の距離計算をするため、そのギャップが激しくなる場合がある。
例
東京駅〜西船橋駅間(総武線)の距離は20.6Kmなので正規運賃だと(電車特定区間内なので)380円となるが、特定運賃は290円である。なお東京駅から船橋駅(西船橋駅の次の駅)の場合は運賃が380円となる。この区間の競合路線は東京地下鉄東西線(西船橋駅〜大手町駅)である。
上記以外の関東の特定区間の例(カッコ内は正規の運賃)である。なお競合区間以外の区間でも、不公平になるため特定区間運賃が設定されている場合がある。例えば、新宿〜八王子間では、京王線との競合区間であり、運賃が安く設定されているが、八王子よりも新宿寄りの駅、豊田駅や日野駅は新宿駅までの通常運賃では、新宿〜八王子間の特定区間運賃より高くなり、不公平になるため、新宿駅〜豊田駅、新宿駅〜日野駅間も特定区間運賃が設定されている。
乗車駅と降車駅に2つの異なる会社が運営してる路線がある場合は、特定運賃設定がある可能性がある(競合区間すべてに設定されているわけではないので注意)。
片道の営業キロが601Km以上であれば「行き」「帰り」の運賃がそれぞれ一割引になります。
札幌・仙台・東京・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸・広島・北九州・福岡の11都市内の駅とその都市内の中心駅から営業キロが201キロ以上ある駅との区間の運賃は、中心駅からの営業キロで計算します。都区市内発着の乗車券は、それぞれの同じ都区市内ならどの駅でも乗り始めまたは降りることが出来ますが同じ都区市内で途中下車は出来ません。中心駅はJRが定めている。中心駅は東京の場合は東京駅、横浜市内は横浜駅、大阪市内では大阪駅となっている。また都区市区の範囲もきまっています(範囲、中心駅など特定都区市内の詳細はWikipediaを参照)。
例
東京〜博多間の乗車券を買うと「東京都区内〜福岡市内」という切符が発券されます。この場合、東京都区内、福岡市内のどの駅でも乗り降り可能です。例えば新宿駅から乗車して、博多駅で降りる場合も、通過運賃は必要ありません。
※Wikipedia、JR東日本ホームページ等を参考に製作しました。
ここではJR以外の鉄道事業者の距離と運賃の換算表を紹介します。JRの場合とほぼ同じですが幹線・地方交通線とかないので計算はJRに比べると簡単です。
東京地下鉄 | 東葉高速線 | 京成線 | |||
---|---|---|---|---|---|
1〜6Km | 160 | 1〜3Km | 200 | 〜3Km | 130 |
7〜11Km | 190 | 4〜5Km | 280 | 4〜5Km | 150 |
12〜19Km | 230 | 6〜7Km | 350 | 6〜10Km | 180 |
20〜27Km | 270 | 8〜9Km | 420 | 11〜15Km | 250 |
28〜40Km | 300 | 10〜11Km | 490 | 16〜20Km | 310 |
12〜14Km | 550 | 21〜25Km | 360 | ||
15〜17Km | 610 | 26〜30Km | 420 | ||
31〜35Km | 470 | ||||
りんかい線 | 新京成線 | 36〜40Km | 520 | ||
〜3Km | 200 | 〜5Km | 140 | 41〜45Km | 580 |
4〜6 | 260 | 6〜9Km | 170 | 46〜50Km | 640 |
7〜9 | 320 | 10〜13Km | 190 | 51〜55Km | 700 |
10〜13 | 380 | 14〜17Km | 210 | 56〜60Km | 750 |
18〜22Km | 230 | 61〜65Km | 810 | ||
23〜27Km | 250 | 66〜70Km | 860 |
※上の表はWikipediaまたは各社のホームページを参考に作成
特記事項